2011年8月1日月曜日

世界最大のHarpオリンピック “11th World Harp Congress” に出場して


マリアーノ・ゴンザレスが “11th World Harp Congress” に招待され それなりの成果を収めてきた。それは世界に轟く歴史的Harpメーカーが中心となり トップクラスのハーピストたちが腕を競うフェスティバルでもある。

クラシックHarpが中心ではあるが アイリッシュHarp、ラテンHarp 今回はその一つでもあるパラグアイアンHarpが大きくクローズアップされた。大方は南米のフォルクローレに焦点が集まったが 最終日のマリアーノ・ゴンザレスのコンサートは ガラニアやポルカを脱し インターナショナルで芸術的であったと評論家たちは絶賛している。“アルハンブラの思い出” “ラ・マラゲ―二ヤ” “青い影” 等ポピュラーなレパートリーも クラシックやラテン音楽の分野を超え 会場ではすすり泣きすら洩れた。

とにかくHarp演奏家としても 今大会の “Brilliant Harpist” と紹介され 洗練されたステージングで花を添えた。

その上 彼の使用したHarpは パラグアイアンHarpに独自が考案したLeverを取り付け、更にエレクトリックであり、ハワイアンのスチール・ギターのようにサウンドに余韻を残す 味わい深い”ピッチバン・システム”がついているオリジナルHarpである。アレンジもすっかり新しく アクティブな演奏を披露した。

そしてこのHarpには 過去20年間彼が試行錯誤して見出した3つの “Harpパテント”が生かされている。

さて、前置きが長くなったが この Something New のHarpこそ 斬新さを目指すHarpメーカーが待ち望んでいたもの!2社のトップメーカーが名乗りを上げてきた。勿論検討する余地があるが メーカーもプレや―も 音楽の追求、楽器の進展には永劫に留まることがないであろう、

ついでではあるが、この時期 モスクワにおいて チャイコフスキーコンクールが開催された。バイオリン部門で 目から鱗と云おうか… 私は腰をぬかした。バイオリン部門の課題曲の中に フィドルの演奏が入っているではないか?フィドルと云えば アイルランドのフォークソング、それにアメリカのカントリーミュージックを思いだす。でも どうしてこんな型破りのことを?

その曲は “チャイコフスキーコンクール” のために アメリカのフィドルの作曲家がわざわざ作曲したものと聞いて またまた驚く。それぞれに趣向をこらした演奏はするが 足で表現するリズムが取れない。クラシック音楽とは全く異質なのだろうか?

この大会の審査委員長がTVで最後に話していた。
「クラシック音楽にも即興演奏(アドリブ)が必要だ。それは自分を表現すること。そして最終的には観客を楽しませることにある」と…。

私はクラシック音楽と無縁ではあるが 過去30数年間 ポピュラー音楽をプロデュースしてきて音楽に囲いのないことを痛感した。

クラシックであれ ポピュラー音楽であれ 勿論作曲者の意図は尊重しなければいけないが それ以上に演奏家のアイデンティティを表現、しかも観客を喜ばせるようでなければプロではない。 私の求め目指してきたことは たとえジャンルは異なっていても 決して間違いではなかったと確信した。

クラシック演奏家たちも、マリアーノ・ゴンザレスも よりよい自分の音楽を求め それは生涯続くであろう。まして Something New を求めてやまないマリアーノ・ゴンザレスの場合は 自分を表現するために 楽器(Harp)の創造からやらなければならない。

最後に私はこう思った。“将に真のアーチスト達の生涯は、修羅の道である” と。

世界一のHarpオリンピックとも言わる “11th World Harp Congress” に出場した彼も 自分の音楽、そして自分の楽器に関して同じ思いを抱いたと実感を正直に述べている。

2010年12月23日木曜日

マリアーノと "さくらハープ”


さくらハープ
 をご存じですか?

マリアーノ・ゴンザレスの奏でる日本の名曲 『さくら さくら』
それは琴の音色にも似て、日本人のノスタルジーを掻き立てるものです。まして、外国で聴いたら感激もひとしお...。

私は海外で何度もこんな思いを噛みしめました。
海外に住む日本人は勿論のこと、日本を知らない外国人達が、好奇心一杯に、“このエキゾチックな曲はどこの国の音楽?誰の作曲?” と、そんな質問がよく来ます。
“Japanese music ですよ” と答えると、目を輝かせて “Japan?” と人々はそれぞれにイメージを膨らませます。

マリアーノ・ゴンザレスは今、自らがデザインし製作したレバー・ハープで演奏していますが、これからは、さくらハープ も世界中で演奏することになるでしょう。

さくらハープ、それは 桜の花をハープの胴のところに散りばめた、レバー、ペタル付きのクラシック・ハープです。そのまま床の間に飾っても美しく、世界に類を見ない日本情緒いっぱいの クラシック・ハープ。日本製で音色も美しく、日本のハープとしてデビューするには、ふさわしいハープです。

音楽としての『さくら・さくら』 それは聞き慣れた琴からさらに飛躍し、ハープやピアノ、バイオリン、さらにオーケストラシンフォニーへと、アレンジ次第でこれはもうワールドミュージックです。

音楽もハープもそのジャンルを超えアピールしていくことを望むと共に、さくらハープに象徴される日本製のクラシック・ハープ、そして世界中で演奏活動するマリアーノ・ゴンザレスに期待するものです。

2010年9月27日月曜日

マリアーノ・ゴンザレスとレバーハープ



12月マリアーノ・ゴンザレスが来日します。
今回はクリスマス期にあわせて レバー・ハープによるクリスマス・キャロル、Jazz,ラテン、クラシック、ポップス等、マリアーノの限りないハープの世界を、レバー・ハープによって繰り広げます。

"レバーハープ" 余り聴きなれないことばですが、マリアーノ・ゴンザレスデザイン、彼の製作したレバー・ハープは世界のプロハーピストに愛用され、更にエレクトリックにしたり、MIDIシステムを取り付けたり、21世紀のハープの形態もその認識も変わりつつあります。

パラグアイ出身のマリアーノ・ゴンザレスは初期の頃はパラグアイのフォルクローレを美しく弾いていました。1970年代にはNHK "世界の音楽" でパラグアイの名曲 "カスカーダ" を演奏。絶賛されました。以来、日本でもパラグアイアンハープが少しずつ知られるようになったのですが... 彼がレバー・ハープに辿りつくまでには、色々な葛藤があり、音楽そのものの勉強もし直し、ハープの基礎とも言うべきクラシックハープも学びました。そして1980年半ばには試行錯誤の結果、"レバーハープ" 誕生となったのです。レバーの操作はピアノの黒鍵とおなじで、ハープでありながら、またハープの音を残しながら、ピアノのような感覚で演奏できます。その為には正しいレバーのテクニックをマスターしなければなりません。レバーを操作しながら曲を弾く。普段から親しんでいる曲をハープでクリアーに演奏する。そして曲の持つ心を表現していく... あらゆる音楽が反乱する現代にあって、これも一つのユニークな音楽への取り組み方でしょう。

今回の来日でマリアーノ・ゴンザレスはトレモロを駆使したクリスマスキャロル、そしてシャープレバーのテクニックを生かした驚異の演奏デュ―クエリントンの "キャラバン”!
ラテンリズムでアレンジした "キャリオカ" や "黒いオルフェ" もしかしたら、ダブルパラグアイアンハープによる民族性豊かなフォルクローレも聴けるかもしれません。
楽しみにしていて下さい。

マリアーノ・ゴンザレス クリスマス・コンサート 
  期日 2010年12月17日 PM7:00
  場所 銀座 十字屋ホール

2010年9月9日木曜日

ラテントリオ来日の意義

久々に ノスタルジックで日本人好みのトリオ〝トリオメロディア"をパラグアイより招聘、ホテル出演のほか、数回のミニコンサートを行った。このトリオは リーダーセルソ・リべロスの類稀なレキントギターのフィーリングとテクニック、セカンドギターで歌唱力溢れるペトロ・ルイス、ハープ(アルパ)とトップボーカルのミリアム。
哀調をおびた彼らの織りなすハーモニーが この上もなく 繊細で美しく極上のトリオであった。

いづれも大盛況! 若い人たちは 彼らの解りやすくリズミックな演奏に惜しみなく拍手を送り、踊り出したり 共に歌ったり楽しい一時を過した。また団塊の世代以上の人たちは〝トリオロスパンチョス“や"ロストレスディアマンテス”をしのび 中には涙する老婦人もいたほど、、、、それほどにこのグループのサウンドは 聴く人の琴線にふれ 感動的で またラテン特有の陽気さをも兼ね備え 人々を魅了してやまなかった。

さて、今までに中高年と若い人たちが共に楽しめるコンサートがあったろうか? 大方はヤングゼネレーション対照 もしくはマニアック的傾向のもの、大衆向けの大コンサート、その種類は枚挙にいとまないが 平均寿命も延びた昨今 少なくとも団塊の世代を含めたアダルトな人たちのためのコンサートを企画すべきではないのか、コンサート終了時に親友の音楽プロデューサーM氏と今後のコンサートのマーケットについて話しあったものである。

勿論 〝トリオメロディア”のように ラテンのスタンダードやノスタルチックナンバー、現代のラテンミュージックをソフィストケイトに、コンテンポラリーに聴かせ どんな世代からも好感をもたれるようなグループも そうざらにはいないであろう。

今回、〝トリオ・メロディア”来日を期に ラテンミュージックに対する愛着も深まり 戦後を生き抜いてきた人たちの為にも新しいSomething new!を求める若い人たちも このベーシックとも言うべき”ラテンの灯”を消してはならないと痛切に実感した次第である。

2010年6月29日火曜日

驚異のレコーディング

昨今 サッカーで俄かにクローズアップされ出したパラグアイ!

5月よりパラグアイのアーテストを招聘した。
それは 2007年に結成された 「トリオ・メロディア」と云うグループ。卓越したリーダー、セルソ・リべロスのレキント・ギター!あたかも 「トリオ・ロス・パンチョス」「ロストレス・ディアマンテス」「ロス・インディオス」に代表される全世界に轟き渡ったあのラテン黄金期を彷彿させる。それでいて、リズミックでモダンなアレンジ、味わい深いテノールのペトロ、ミリアムのチャーミングなボイス、まさにこのグループこそは21世紀のラテントリオと言うべきだろう。

早速 レコーディングしてみた。
どうしてもライブ感覚が出したかったので一発撮りにし、何んと5時間で11曲の録音を果たし、スタジオはミキサーはじめスタッフ達が騒然となった。一点のミスもなくスムーズに弾きこなし、歌い上げ そのハーモニーの素晴しかったこと…。まさに脱帽である。レパートリーも本邦初公開のパラグアイアンソングからラテンボレロの名曲、ラテンスタンダード・レキントギターソロ、中でもセルソのアレンジによる「ラ・クンパルシータ」「ニッケの花」は秀逸で、聴く人を深く感動させる。

この一枚のCDがラテンファンの心に届くことを願うばかりである。
最後にこのCDは、パラグアイならではの美しさと哀調に満ち溢れ、他のラテン諸国のサウンドでは味わえない趣きが漂っている。

そして彼らのライブも素晴らしく、日曜日を除く8月31日まで、東京都内にあるホテルイースト21東京の21階パノラマラウンジで演奏。

パラグアイと云う国はサッカーばかりではなく、素晴らしいアーティストも輩出し、世界中で活躍しているのである。ラテン・ミュージックに興味をお持ちの方々はもとより、どうかこの機会に本物のラテンサウンドが身近に聴ける「ホテルイースト21東京」へお越し下さい。

2009年10月24日土曜日

2009年秋 コンサート雑感




 ここ1ヶ月、私にとっては 毎日毎日が美味しい音楽のご馳走攻めであった。
9月前半はクラシックギターのBerta Rojasが...9月半ばより10月にかけてMariano Gonzalezが...。いずれ劣らぬSomthing Newの音楽を展開。各地で話題を投げかけた。
Berta RojasのNewアルバム、Mariano Gonzalezの多彩な彼の世界...。茨城県護国神社に於ける奉納ハープを含め、東京、名古屋、福井各地でのコンサートで、日本の音楽ファンに多大な感動を与えた。



中でも 昭和音楽大学と福井の青山ホールで行なわれたコンサートでは 普段は燕尾服姿でオーケストラの常任ハーピストを勤める山崎祐介さんとMariano Gonzalezが舞踊組曲ファリャの『火祭りの踊り』を思わせるような真っ赤なシャツで登場。お互い音楽のジャンルを越え、あの名曲『引き潮』や『荒城の月』『枯れ葉』に至っては満場の拍手が鳴り止まなかった。



また東京、銀座、十字屋ホールで行なわれたコンサートでは ハーピストの北政芙美子さんがクラシックハープでMarianoのオリジナル曲『Stillness(静寂)』を優しく静かに演奏。Marianoは、MIDIハープで『青い影』『Let it be』『ラ・マラゲーニャ』アコースティック・レバーハープで『カミノ ア ブエナビスタ』『禁じられた遊び』『アルハンブラの思い出』『パハロ・カンパナ』等 お馴染みの曲を新しいアレンジで演奏して観客を魅了し続けた。



その他 たまたま、観客席に居合わせたマリアーノの弟ガブリエル・ゴンザレスをステージに呼び兄弟で ダブルハープ演奏。母国パラグァイそのもののフォルクローレを聴かせてくれた。それはあたかも魂と血のほとばしる感動的な競演であった。訊くところによれば、生まれて初めて実の兄弟で演奏したとのこと。彼らにとって感激もひとしおであったことであろう。いろいろと感慨深いコンサートでもあった。

2009年9月2日水曜日

パラグァイアンハープと 林伸太郎さんのこと

 どうして私は未だ未知にも等しい南米のパラグァイアンハープに取りつかれてしまったのか?何時か何かに書いてみようと思っていた。

 それは決してピアノやバイオリンのように完成された楽器ではない。もともと、パラグァイに伝わる民族楽器である。ピアノのように黒鍵もない。まるでハモニカのようなもの。では音楽を奏でる上で必要な半音はどうするのか?よくしたもので、ジャーべと言う鍵状のものを使って半音をつくっていく。なるほど、原始的ではあるが、それなりの演奏は可能だ。

 何故、こんなことを書くのか。
 それにはワケがある。今から30年ほど前、大変お世話になった「東京新聞」の音楽デスクであった毒舌家の故林伸太郎さんからアドバイスを受けたことがある。私は彼にパラグァイアンハープのカセットテープを渡し、その美しい音色を聞いて欲しと頼んだ。すると間髪も入れずに、「ああ、これはトイハープね」と一笑にふされてしまったのだ。
 トイ・ハープ(?)と言うのは、一部の愛好者はさておき殆どの人は知らない、所謂マイナーな楽器をさすのであろう。つまり未だ市民権の無い楽器ということだ。また、林さんの妹がプロのクラシックハーピストだったので、彼はハープの知識に富み、広い見識を持たれていたのである。 

 その時私は考えた。
 民族楽器は単に民族楽器に過ぎないのだろうか?
 林さんはこうも続けた。「やはり民族楽器の枠を超え、クラシック、ジャズ、ポピュラーの分野で他の楽器と互角に演奏出来るようにならなければメジャーにはなれないし、楽器としての市民権も取れないね。しかし、民族音楽は民俗音楽として僕は認めるよ。」   

 それから数年して、私の前に現われたのが、マリアーノ・ゴンザレスである。当時の彼は、常に2台のハープを持ち歩いていた。1台はメジャー・キーのハープ、もう1台はマイナー・キーのハープ。曲によって使い分けるのである。

 1980年代に入って彼は、使いたい時にキーが変えられるよう、パラグァイアンハープにレバーを取り付け、自らがデザインしたレバーまで生み出し、ジャンルを問わない演奏が可能となった。世界中のハープファンにこたえて、セミクラシック、Jazzスタンダード、ワールドミュージックと、誰からも愛される名曲の数々を、フレッシュで、ソフィストケイトなアレンジで、数々のCDを出してきたマリアーノ・ゴンザレス。そして今、ロマンチックなメロディーで充実した新しいCD 「MARIANO〜PARAGUAYAN HARP〜ROMANCE DE AMOR」をリリースする。
 
 しかしながら、あの辛口の評論で知られた東京新聞の林伸太郎さんはこの世にはもういない。ほんとうに残念です。私は彼に2005年のカーネギーホールでのマリアーノ・ゴンザレスの成功、ラスベガス(2007年)アトランティックシティやブランソン(2008〜9年)でのコンサート、また日本では、サントリーホールでのコンサート(2006年)あれも、これも、マリアーノの進展、いや、パラグァイアン・ハープの世界に於ける目覚ましいメジャーな活躍ぶりをみてほしかった。そして今や「トイ・ハープ」とさえ称されたパラグァイアン・ハープがオールマイティの楽器になりつつあリ、独自のポジションを世界中で獲得しつつあることを、林さんはあの世でどう受け止めているのだろうか…。

 時代と共に移り行く音楽への価値観を噛み締めているこの頃である。


*Paraguayan Harp パラグァイアンハープ=パラグアイハープ=アルパ